企業との面接の準備は、ちゃんとしてきた。
あらかじめ用意した自己紹介は、用意してきたとおりに言えた。
やってきた現場の話も、使ってきた技術の話も、詰まらずに話せた。
最後は「プロジェクトの利益に貢献できると考えています」で締める。
ところが、そこで面接官が聞いてきます。
「具体的には、うちのどこで、どう貢献できそうですか?」
頭が真っ白になって、喉まで出かかった言葉が何も出てこない。
「えっと、これまでの経験を活かして……」と言いながら、自分でも何を言っているのか分からなくなっていく。
結果は、お見送り。
話し方の練習が足りなかったのか。
もっと経験を積めば、答えられるようになるのか。
何がダメだったのか分からないまま、次の面接も同じ一言で締める。
そしてまた、同じ質問で黙ってしまう。
これを繰り返している間に、半年、1年と時間だけが過ぎていきます。
単価も、今のまま上がらないままです。
「利益に貢献したい」は、言わされている言葉に聞こえる
「プロジェクトの利益に貢献できると考えています」
この一言、エンジニアの自己紹介でよく見ます。
でも、聞いている側からすると、どの課題をどう良くしたいのかが何も見えません。
なので、本当に現場を良くしたいと思っているのか疑わしいというか、なんか言わされてる感じがするんですよ。
しかも、技術面接や案件の面談なら、面接官はCTOやリーダーのことが多いです。
そういう人たちは、自分たちのサービスのお客さんが何に喜んでお金を払ってくれるのかを、いつも考えています。
だから「利益に貢献したい」と聞いたら、こう思うわけです。
どのお客さんの何を良くして、利益を上げるつもりなんだろう、と。
そこで黙ってしまうと、言葉だけ覚えてきた人だと思われてしまいます。
ただ、このことに気づくのは、たいてい企業の面接で落ちてからです。
というのも、僕が受けてきたエージェントとの面談では、ここまで突っ込まれることはほとんどありませんでした。
僕が会ってきたエージェントの担当者は、現場で開発をしたことがない人がほとんどだったので、突っ込んだ質問がそもそも出てこなかったんです。
だから、企業の面接で初めて聞かれて、そこで初めて詰まる。
黙ってしまうのは、雇われている側の頭のまま考えているから
じゃあ、なんで具体的に言えないのか。
それは、その会社のビジネスを、当事者のつもりで理解しようとしていないからです。
エンジニアとして企業に雇われて、お金をもらう。
そこで考えるのが止まっているエンジニアは、僕の周りでも本当に多いです。
成果報酬じゃなくて、働いた時間で報酬が支払われる契約が基本なので、言われたことをやればお金が出る。
つまり、サービスの売り上げを上げていこう!なんか考えなくても報酬は出てしまうから
雇われサラリーマンの思考回路のまま、フリーランスになってる人が多いんです。
でも本来は、お客さんに価値を届けて、その対価として報酬をもらう。
商売の基本中の基本です。
だから、価値を提供しなくてもお金が手に入るってのは、仕組み上そうなってるだけで
本質から考えると筋が通ってないことなんです。
なのに、外から来たフリーランスや転職したての人ほど、その会社のシステムや技術の課題に目が行きます。
一方で、サービスを伸ばしている会社の社員のエンジニアは
自分たちのサービスのお客さんが喜ぶことを、まず考えています。
その基準に自分も立っていないと、面接で話が噛み合わないんです。
面接の前に、受ける会社のお客さんが誰で、何にお金を払っているのか。
そこまで考えてから行ったこと、ありますか?
僕は「利益貢献」という発想すらなかった
実は、SESにいた頃の僕は、口だけですらありませんでした。
利益に貢献する、という発想そのものがなかったんです。
振られたタスクを、言われたとおりにこなすだけ。
それが仕事だと思っていました。
今思えば、そんな頭のままで「利益に貢献したい」と言えるわけがありません。
相手の会社の何を良くして、どれだけ利益を上げるのか、1ミリも考えていなかったので。
具体的に話せる人は、その会社の社員のつもりで考えている
じゃあ、「具体的には?」に答えられる人は何が違うのか。
それは、どれだけ具体的にイメージできるかと、視野の広さです。
その会社の人たちのつもりで考えたら、どこまで考えるだろう。
そこを考えているかどうかで、話せる中身が変わります。
たとえば、チームの作業時間を奪っている面倒な手順を1つ潰せたとします。
それでチーム全体の時間が浮けば、次のリリースの準備に人を回せる。
そうなればリリースが早まって、お客さんに新しい機能が早く届く。
その次の施策にも、人を割けるようになります。
こんなふうに、1つの改善がチームとお客さんにどう広がっていくかまで想像できると
「具体的には?」と聞かれても、話すことが勝手に出てきます。
僕はこれを、やらなきゃいけない義務としてやっていません。
イメージしたら良くなる方向がどんどん出てきて、考えるのが止まらなくなるんですよね。
とはいえ、「入る前の会社のことなんて、そこまで分かるわけないでしょ」と思いますよね。
確かに、完璧な答えを持っていく必要はありません。
僕が見てきた現場で、採用する側が欲しがっていたのは、正解を持っているエンジニアではなくて
自分たちと一緒にこれを考えて、良くしていけるエンジニアでした。
なので、その姿勢が伝われば、多少外れていても問題ありません。
しかも今は、コードを書くのがAIで速くなった分
僕の周りでは、技術の話だけだと他の人と差がつきにくくなっています。
だからこそ、相手のお客さんの話ができるかどうかで、差がはっきり出ます。
面接の前日に、社員になったつもりで書き出す
じゃあ、次の面接の前に何をすればいいのか。
受ける会社のサービスを、自分がそこの社員になったつもりで見てみてください。
お客さんは誰で、何に喜んでお金を払っているのか。
そこが伸びたら、チームの誰が楽になって、何が早くなるのか。
完璧じゃなくていいので、自分の言葉で書き出しておく。
すごく地味ですけど、話す練習を増やすより、その会社のお客さんを見る時間を増やす方が
面接官のあの質問に答えられるようになります。
ただ、その会社のどこを見れば、お客さんとお金の流れがつかめるのか。
そこから逆算して、面接で何をどの順番で話せばいいのか。
この考え方は、メルマガから案内している教材の中で話してます。

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